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紀州犬とは?
石器時代の昔から、紀伊半島で主に狩猟犬として私達の祖先とともに生活し、自然に完成をみた紀州犬は、昭和九年五月一日天然記念物に指定され、半世紀にわたり文化財として保存されてきました。本犬種は、寒暑風雪に堪える強健な体質と頑丈な体躯をもち、闘志を深く秘めた素朴で気品に富む外貌、人類に対する忠順の特質をそなえています。
このように素晴らしい本質と性能をもつ紀州犬は、最高の猪猟犬として、また忠実な家庭犬として全国で愛育されています。


日本犬中型(紀州犬)標準

紀州犬標準
1.本質と其の表現
悍威に富み良性にして素朴の感あり、
感覚鋭敏、動作敏捷にして歩様軽快
弾力あり。

本質とは、紀州犬が祖先から受けついできた特性、特質や純粋性等のことで、「悍威」「良性」「素朴」と言う言葉で表現しています。「悍威」とは気迫と威厳、「良性」とは忠実で従順なこと、「素朴」とは地味な気品と風格のことです。
感覚は鋭く、動作は敏捷で歩様は軽快で弾力があります。

2.一般外貌
雄雌の表示判然とし対躯均整を得
骨格緊密にして筋腱発達し、雄は
体高体長の比100:110にして、雌は
体高に比し体長稍長し。
体高雄五二糎、雌四九糎とし、上下
各三糎の差は許される。

まず性徴が重視されます。雄と雌の性的特徴の違いをを雄らしさ、雌らしさと表現して、とても大切にしています。紀州犬は体質が固く、皮膚が乾燥し、体躯はバランスよくまとまり、骨格は緊密で筋腱はよく発達しています。体高は雄では52cm、雌では49cmが標準で、上下各3cmが許容範囲です。
体高と体長の比は100:110というやや長方形の形が理想です。

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3. 耳
小さく三角形にして、稍前傾して、緊乎
と立つ。

頭部に調和した大きさでやや前傾してピンと立ちます。前傾度は真横からみて、額面線と外耳線とが、ほぼ九〇度の角度をなしているのが標準的です。
形は三角形ですが、内耳線は直線で、外耳線が長くやや丸味をおびて、頭部の両端から外側に出ない位置に収まるのが理想です。
耳

4. 目
稍三角形にして外眥上がり、虹彩濃
茶褐色を呈す。

紀州犬を見る上で、目は非常に重要なポイントで形、沈み方、色など、すべてが本質と深いつながりがあります。やや奥目で上まぶたはひらがなの「へ」のようで、目尻が少しつり上がった力感のある不等辺三角形で、四国犬ほど目の切れはするどくは感じられません。虹彩は濃い茶褐色が理想です。

目

5.口 吻
鼻梁直に吻緊り、鼻鏡緊り良く
唇引き緊り、歩牙強健に噛み合せ
正し。

紀州犬の口吻は基部が太く、先細りの楔型をし、鼻梁は直線で口吻は両頬から丸味をおびて程よい太さと厚みを持ち口唇は一直線に引き締まっています。
口吻で大事なのは
(1)どこで切っても切り口が円形であるような、太めの力強い口吻であること。
(2)下顎が厚く、しっかりしていること。
(3)口吻が適当な角度で出ていること。
鼻鏡は潤沢で、有色犬は黒色、白色犬は黒っぽい褐色です。
歯牙は強健で、歯数42本で、噛み合せは正常です。

口吻横口吻正面

6.頭 頸
額広く、?部良く発達し、頸部逞し。

紀州犬の頭部はよく発達して大きく、額や顔面が広く後頭部もよく充実しています。
額:広くわずかに隆起してなだらかな感じが必要です。
額の中央にみられる、縦溝と呼ばれる1本の線は、浅いながらも明瞭にあった方がよく、この縦溝以外に幾本かのしわが出る場合は大きな欠点になります。
額段:ストップと呼ばれる部分で額と口吻基部の境で深すぎると品位のない下卑た顔になり、浅すぎると、のっぺりした顔になり紀州犬の素朴味が薄れます。
頬張り:丸味を持ってふっくらとした感じで適度に張っていなくてはなりません。
頸部:頸は頭部に調和した太さと幅、厚みを持ち、筋肉が固く引き締まりたくましく発達しています。
頭部
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7.前 肢
肩甲骨適度に傾斜して発達し、前腕
直に趾緊握す。

肩甲骨が適度に傾斜して前肢はまっすぐで、肘を胴体胸底に引き付け胸幅と同じ幅で接地します。趾(指)はしっかり握ります。
前肢

8.後 肢
力強く踏ん張り、飛節強靭にして
趾緊握す。

大腿部はよく発達し、正しい骨格構成と強い筋腱が要求されます。飛節はねばり強さを備えて踏ん張り適度な角度がひつようです。後肢は後から見た場合、腰幅と同じ幅でまっすぐ立っていなければなりません。。
後肢

9. 胸
深くして肋適度に張り、前胸発達良し。

胸は前胸と胸部(側胸、下胸、胸底)に分けることが出来ます。前胸は前にせり出すように発達しています。真横から見たときに肩に隠れて見えないようでは貧弱な前胸です。前胸に続く胸部は充分な深さと肋の張りが必要です。胸深は体高のほぼ50%としていますが、浅くても45%は必要です。
肋の張りは、前から見た垂直断面が船底形か卵型といわれる形状で、適度に湾隆し、下胸から胸底にかけてしぼられている胸郭が理想です。

胸部

10.背 腰
背直に、腰強勁なり。

背部とは胸椎(13個の胸椎骨)の部位の事で、それに腰部(7個の腰椎骨)が続き、十字部(左右の腰かどの付近)から、尾のつけ根までが尻部になります。
「背直に」には背部、腰部、さらに尻部までを含めて直であることを求めています。歩く時に腰が上下したり左右に横振れしないような、緊密な骨格構成が求められます。

背 腰部

11. 尾
太く力強く、差尾または巻尾をなし、
長さは略飛端に達す。

適度な太さで力強く、差尾か巻尾になります。背線を切って巻くものを「巻尾」といい、後ろから見て尾先が左へ巻くのが左巻き、右に巻くのが右巻きで、左巻き、右巻きの優劣はありません。「差尾」は巻かずに背上に差しているもので(薙刀尾)(太刀尾)(たたき尾)などがあります。差尾は風雅の趣があるといわれ、多くの愛好家の心をとらえています。
長さは後に垂らしたときに、その先端部がほぼ飛節に達します。

巻き尾差し尾

12.被 毛
表毛剛にして直く、綿毛軟にして密生
し、尾毛稍長く開立す。毛色は胡麻、
赤、黒、虎、白とし、毛質・毛色は
日本犬の特質、特徴もつ可し。

紀州犬の被毛は表毛(剛毛)と下毛(綿毛)からなる二重被毛です。被毛は日本犬の本質を見極める上で大切な要素を含んでいます。
表毛は固く直であることが必要で、発生角度が大きいのが良く「毛吹きが良い」などと言われます。
下毛はふつう綿毛と言われますが、文字道り綿のように細く、柔らかく、地肌に密生しています。
尾の毛はやや長めで開立しています。
紀州犬の毛色は現在白毛がほとんどですが、渋い魅力のある胡麻毛や、赤毛などの有色紀州犬もいます。
有色紀州犬

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